リカーブボウ  レスト  ARCO olympico Z/T Rest

 イタリアARCO SPORTのマグネチックレストです。名称は「A.S. REST OLIMPICO Z/T MOD.A」というようです。米国キャバリアのAAE Free Flyte ELITEレストと同タイプの金属製マグネチックレストですが、国内では一部の通販ショップでこの簡易版タイプが扱われているのみで、あまり見かけません。簡易版のコピー製品として韓国Cartel社製のものもありますが、外観は同じようでも、仕上げの精度には雲泥の差があります。調整の細やかさについては、最高価格帯のAAE FreeFlyte ELITEに匹敵し、レストピンの上下、開き角度の調整は当然として、吸着マグネットとの距離調整によるピン位置復帰の強弱まで調整可能です。AAE FreeFlyte ELITEは、本体が分厚いアルミ製となっているため、プランジャー軸が長いものでなければサイトウインドウ内の適切な位置に届かない欠点がありますが、このレストでは本体が薄く仕上げられているため、一般的な長さのプランジャーが使用できます。

 

 同梱品一式です。本体のほか、固定ネジ、ワッシャー、レンチ3本となっています。レンチのうち1本は一般的な六角レンチですが、注目すべきは銀色の専用加工されたレンチ2本と、真鍮製のワッシャーです。レンチサイズの規格は確認していませんが、レンチは2本とも同じサイズのようで、さらにワッシャーは片側が切断され、レストの取り付け位置の前後調整範囲を大きくできるよう工夫されています。いずれにしても、手のかかる加工を加えています。

 

 付属ワッシャーを使用する場合の装着の様子です。一般的なハンドルライザーには、2つのプランジャーホールが開いていますが、取り付けには、普段は使用しない前方のプランジャーホールに付属ボルトで固定することになります。2つのプランジャーホールの距離はハンドルライザーによりさまざまで、長いものもあれば短いものもあります。問題なのは、短い場合で、プランジャーとワッシャーが干渉する可能性が出てくるわけで、ワッシャーの片側を切り欠くことにより、こうした問題にも対処しようと工夫されているわけです。

 

 可動部分の拡大です。レストピンはリング状銀色の金属パーツに六角ネジで固定されています。ピンの上下、開き角度を調整してこのネジで固定します。手前側の上下対照に見えるネジは、ピンの回転軸を締め付けるためのもので、ガタツキが出た場合にも修正できるように考えられています。

 

 可動部を下方から見た様子です。リング状銀色金属パーツのピン固定六角ネジの反対側には、黒色の六角ボルトが取り付けられていて、このボルトの頭がレスト本体に埋め込まれたマグネットに吸い付けられてレストピンが復帰する構造です。レスト上部のナットでロックされたネジは、下に突き出した部分が黒色六角ボルトの頭に接触し、突き出した長さの加減によりボルト頭との接触位置が変化するため、ピンが復元した際のマグネットとの距離を変化させることになり、マグネットへの吸着強度も変わるため、結果としてピンの復元速度強弱を調整可能としています。しかし、六角ボルト頭の1/4周の接触位置での調整になるので、調整範囲はさほど大きくありません。

 

 可動部を上方から見た様子です。ピンはスリットを入れた軸穴に取り付けられているため、ガタツキが出てもスリット後方の固定ネジを増し締めすることで補正できます。

 

 レスト本体を前方から見た様子です。AAE Free Flight ELITEに比較すると、取付部分の本体の厚みは非常に薄くなっています。レストピンとの間隔を見てわかるように、Win&Winのカーボン製ハンドルのようにライザーのウインドウ部分に厚みがあるハンドルでは、ピンがハンドルと接触してしまうため、ピンが完全に倒れ切らない可能性も出てきます。その場合にはピンの曲げ角度を深くするような二次加工が必要になります。