コンパウンドボウ  コンパウンドボウ本体  Bowtech Destroyer340

 Bowtech Destroyer340の2011年モデルです。毎年、新製品を発表するBowtech社では、モデルの製品寿命は短めですが、アメリカではハンティング用の高速カムモデルとして人気が高く、2010年から継続販売されていたものです。Destroyer340は、ストリングハイトが7インチになっていますが、姉妹モデルでハンドルのリフレックスデザインを大きくしてストリングハイトを6インチと低くしたDestroyer350は、限定モデルとして市販が継続されています。

 サイズの大きめのカムを使用していますが、2010年当時の初期モデルではカムのトラック溝が浅く、ストリングが脱落する事故が多かったようです。2011年モデルでは、そのへんが改善され、スペックも若干変わっているようです。現行のBowtech製品でも、このコンパウンドボウで採用されたさまざまな技術を受け継いでおり、記念碑的なモデルであるともいえます。

 

 現行のBowtech製品でも要の技術となっているOver Drive Binary Camの構造です。ドローレングスは26インチから31インチまで設定可能となっており、この写真のドローストップは、26インチ設定になっています。赤いカムモジュールの位置を回転させてドローレングスを変更しますが、ボウプレスが必須となります。実測のドローレングスは設定よりも若干長めに出るようです。

 迫力のある大型カムですが、レットオフは80%となっており、ホールディングウエイトも意外なほど快適です。カム軸はリムの外側にベアリング内蔵の軸受けに取り付けられており、リムを貫通させて取り付ける構造よりも耐久性に安心感があります。

 リムは、HRD CORE LIMBと名付けられた7層の積層構造で作られています。表裏の表面はPET FILMで覆われ、その下層は表側から順にS-glasshグラスファイバー、6061-T6ジュラルミンプレート、CARBON CORE、E-glass(赤)+E-glass(黒)となっています。

 芯材となるCARBON COREを中心に、表側は繊維方向を揃えた高性能のグラスファイバー、内側は耐久性のあるグラスファイバーを2層重ねています。アルミプレートはリムの先端部分だけに入れられており、ねじれに抵抗する構造になっています。

 リカーブと異なり、コンパウンドではリムに求める性能が異なり、その構造を丁寧に紹介するメーカーはあまりありません。リカーブリムでは反発力とリム自体の軽量化を求める目的からカーボンファイバーが多用されていますが、高ポンドを生み出すコンパウンドリムでは、グラスファイバーを主体とした硬い構造が求められ、カーボンの使用は一部に留まるようです。

 

 ケーブルガードは、FLX GUARDというシステムになっています。ケーブルとの接点は、他のメーカーにもあるローラータイプですが、ガイド本体はカーボンブレード製になっており、ドローイングにともなってケーブルに張力がかかると内側にたわむ構造で、カムの横方向にかかる力を出来る限り低減させるものとなっています。

 

 

 ストリングバックストップです。

 軸はカーボン製で、ハンドル取付部にはゴムダンパーが付加されており、極力振動をハンドルに伝えないよう配慮されています。

 ストリングおよびケーブルは、BOWTECH社の系列メーカーであるOCTAN STRINGが指定されています。原糸の材質は、ケーブル、ストリング共にBCY社の452Xのようです。

 

 OVER DRIVE BINARY CAMと名付けられたBOWTECH社独自のカム構造です。カムの軸受けはリムの外側にあり、軸受け自体はリム内側からネジ止めされています。リム幅は比較的細いものですが、ケーブルヨークを取り付ける部分のカム軸は横に延長されているため、ヨークを捻ることによる繊細なカムリーン(傾き)調整が可能になっていて、このシステムの肝になっています。リムのスリットとカムの間隔は非常に狭く、チューニングが極端に狂うと、カムがリムスリットに接触する場合もあるようです。

 

 グリップ部の様子です。

 プラスチック製で、フェイス面には「DESTROYER」と文字デザインが刻まれ、滑り止めを兼ねていますが、アメリカ本国では安っぽいということで、あまり評判は良くなかったようです。