現役の道具ではないのですが、40年前の弓具を紹介します。弓の名称は「Marksman Magne TD」というものです。これは私が学生時代に使用していたものですが、当時は国内にも多くのメーカーが存在していました。YAMAHAやHOYTがメジャーであったことは言うまでもありませんが、NISHIZAWAやKAZAMAなどのスキーメーカーや、MAKITAからショップブランドのものまで数多くの製品が存在していたことを知る人は少なくなりました。Marksmanは新潟の会社だったと思いますが、これらのメーカーよりもさらにマイナーで、学生向けの比較的安価な弓具を提供してくれていました。英国にも同名のメーカーがありましたが、関係はないようです。
当時を知る人でも、カーボンリムの製品化はYAMAHAが最も早かったと勘違いしている人も多いようですが、MarksmanはYAMAHAより何年も早く製品として実用化していました。メーカー規模が弱小であったために知名度がなかったのかもしれません。カーボンリムには3段階のグレードが設定されていて、これはリムのフェイス側のみにカーボンを使用したstandardです。このほかリムの両サイドにカーボンを組み込んだ上級グレードのものが2種類あったと記憶しています。
リムチップ基部がストリングループのために切削された部分の、露出したフェイス側のカーボン層に注目してみてください。現在のカーボンリムが、シート状のカーボン繊維を張り合わせているのとは異なり、スジ状のカーボン繊維をリム長方向に組み込んでいる様子が見えます。今風に言うと、U/Dカーボン層です。現在では捻じれ対策のため斜交するカーボン層を組み合わせることが普通ですが、当時の技術では難しかったのかもしれません。ちなみに使用しているカーボン繊維は、東レの「トレカ」を使用していたということです。Marksmanは、当時登場したばかりのケプラーストリングを標準添付品としたこともあり、とがった性能を追求したメーカーでした。
全体的なシルエットは、HOYT TDと似たデザインで、リムとハンドルの結合方式も同様のシステムですが、各部のサイズが異なるため、最近のILFシステムのような互換性は全く考慮されていません。また、グリップについては、当時のメジャーな海外製リカーブボウのひとつであったBear社のグリップが装着されていました。他人のふんどし、ではありませんが、今では考えられない大胆な設計です。Bear社のグリップには、ロー、ミディアム、ハイの3種類の形状があったため、好みのグリップ形状を選択することもできました。
リムの付け根にあたるバット部分ですが、現行のリムよりも分厚い構造になっています。わかりずらいかもしれませんが、バック側のウッドコア表面には白いグラスファイバー層、フェイス側のウッドコアとリムサポートの間には黒いカーボン層が貼られていることがわかります。
初期型のリムでは、全体が白でペイントされてリムの積層構造が見えないようになっていました。左側が初期型、右側がマイナーチェンジ後の後期型で、リムチップの補強も変更されています。
このハンドルで使用していたサイトは、今でもまれに見かけるKサイトTタイプですが、これには現在では使用が禁止されているフードサイトピンの試作品が付属していました。入手直後にルール変更で禁止されたため、実戦での使用経験はありません。
フードサイトピンは、コンパウンドボウのピープサイトを通したスコープの視野と同様に、視点がずれるとサイトピンがフードトンネルの中心から外れるため、ストリングサイトを気にしなくても正確なエイミングができるようにしたものです。
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