数多いCartelのクッションプランジャーのひとつ、Midas MXです。基本構造は、Beiterのものとほとんど同じで、デザインが異なるだけというような感じのものです。スロットナットの位置固定用イモネジもBeiter同様、2箇所で固定するようになっています。

　分解した様子です。プランジャー軸と接触する部分のシリンダー内面には樹脂部品が組み込まれており、プランジャー軸の摩耗防止と円滑な作動に配慮しています。シリンダーのキャップ側表面には、軸方向に10本の溝が刻まれており、キャップ部分に見える丸頭のボルト裏側に組み込まれたスプリングボールと噛み合ってクリック感を出すようになっています。

　プランジャーボタン軸はプラスチック製ですが、常識的な仕上げで安心できるものになっています。かつてのCartel製では、表面がざらついたままで精度の悪いプラ製で、動作に引っかかりのあるような仕上げのプランジャー軸が組み込まれているものもありました。

　シリンダー周囲に刻まれた溝の様子です。シリンダーキャップの内面に飛び出した金属製のスプリングボールが、この溝に引っかかってクリック感を出すようになっています。

　プランジャー軸のスプリングを支えるエッジの反対側には、ゴム製のO-RINGが組み込まれており、シリンダー内部でエッジ部が衝突するのを緩衝するようになっています。プラスチック製のプランジャー軸を使用した一部のCartel製プランジャーでは、プラスチックの硬度が軟らかすぎたため、アローシャフトとの接触で急激に摩耗が進むものもありましたが、この製品では十分な硬度はあるようです。

　シリンダーキャップに組み込まれたスプリングボールを覗いてみた様子です。表側に見える丸頭のボルトで押さえられている構造です。専用部品にはなってしまいますが、構造的にはBeiterのものよりも単純で優れているかもしれません。