学生時代にアーチェリーを始めてから40年以上経過し、アーチェリーの用具のことならほとんどのことは知っていると思っていたのですが、インターネットを通じて情報収集していると、これまで全く知らなかった情報にも巡り会います。知らなければ弓具を使えないというレベルのものではありませんが、日本のアーチェリー指導書にまったく欠如した情報が数多くあるというのは事実です。
インターネットといっても文字情報、とくに英文を読解するのはハードルが高くなりますが、最近はYoutube動画で非常にためになるものが多くなっています。もちろん、音声は英語のものが多いですが、映像があることにより、おおよその意味を把握できるという点でも視聴する価値はあります。なかでも、ジェイク・カミンスキーは弓具のチューニング、フォーム、トレーニングなど、参考にできる動画をシリーズで公開しています。ぜひ、ご覧になることをお勧めします。
知らなかったことの1例をジェイクの動画の中から挙げると、スパインテスターという道具は知っていましたが、スパインを確認するためだけの道具だと思っていました。ところが、これはアローシャフトのスパインをできるだけ均一にチューニングするための道具だったんです。まず、どんなに高度な均一性を標榜した高価なアローシャフトであっても、まったく同一のものは存在しないということが前提なんです。矢の加工製作の過程では、カット精度や接着剤の量による重量変化など、取るに足らない部分を気にしていましたが、実はそれ以前にシャフトのスパインを、シャフトの全周にわたって測定し、複数の矢が均一のスパインになる位置を確認する必要があったんです。それがスパインテスターの存在理由なのです。
かつて真円性に問題のあるシャフトがあったことを知っていますが、それの場合、シャフトの両端をふさぎ、水に浮かべて、上になった部分に印をつけ、それを目印にベインを貼り付けるという手順が必要でした。スパインテスターの使用理由に比べれば低次元の話ですが、どんなに高精度のシャフトであってもシャフト周囲の位置によっては微妙なスパインのばらつきがあるという事実は、盲目的に高額なシャフトの精度を信じていたものにとっては、目からうろこです。
そのほかジェイク関連の動画からではありませんが、コンパウンドについてです。まだ片手間で10年程度の経験しかありませんが、ひととおりの知識は持っていたつもりです。それでもFreak Showのように取り付け部が前後に長いレストが存在する理由は、オーバードローレストとして使用するのか、HOYTハンドルのブリッジを避けるための構造である程度にしか考えていませんでした。ところが、これはトルクチューニングをするための構造だったんです。競技の最前線にいる選手では常識なのかもしれませんが、経験の長い諸先輩から伝聞だけでコンパウンドを習ったサンデーアーチャーには習得しがたい知識です。コンパウンドについて詳しい方が周囲にいましたなら、トルクチューニングの方法と効果について、聞いてみてください。
まだまだ知らないことが多いですが、今度はSanlidaからFreak Showと同じく、前後に長いレストを仕入れてみる予定です。
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アーチャー (水曜日, 06 5月 2020 13:20)
記事と無関係で申し訳ありませんが、ストリングの選定について教えて下さい。
よくグラスリムはダクロン弦の方が良いと聞きますが、レンタルリムもダクロンで使用した方が良いのでしょうか?
また最近格安のグラスリムが多く販売されておりますが、ファストフライトプラス等の弦を使用すると破損の恐れがあるのでしょうか?
ご見解頂ければと思います。
管理者 (水曜日, 06 5月 2020 19:29)
お問い合わせ有難うございます。
必ずしも、グラスリムにはダクロン弦が必須という定義があるわけではありません。要は、リムチップがHMPE製ストリングの衝撃に耐えるよう強化されているか、否かの違いです。
初級者向けの安価なグラスリムでは、メーカーがHMPE製ストリングの使用可否を明確にしていない場合もあり、判断に迷うところです。現在では廃番になっていると思われる韓国Cartel製のX-PERTやFANTOMの初期型で、HMPE製ストリングを使用した場合、おかしな言い方ですが、壊れなかったリムを見たことがありません。FANTOMの後期型では、リムチップが補強され改良されたようですが、メーカー側は非ダクロン弦の使用可否は明確にしていなかったように記憶しています。
ちなみに、Sanlida製のグラスリム「X8」は1万円前後で購入できるリムですが、HMPE弦の使用は可能です。ニューモデルとして、より安価な「X7」というILFウッドグラスリムが発売されましたが、こちらはリムチップの補強材が木材製なのでダクロン弦専用となります。
レンタルリムについては、リース側が非ダクロン弦の使用を許可しているのなら問題ないと思いますが、明確でないなら、トラブルを避けるためにもダクロン弦を使用した方がよいのではないでしょうか。
アーチャー (土曜日, 09 5月 2020 11:41)
ご回答ありがとうございます。
見た目で使用可能かどうか判断する基準などあるのでしょうか?
管理者 (土曜日, 09 5月 2020 13:21)
残念ながら、見た目による判断は難しいと思います。メーカーが使用ストリングの制限を明確にすることはあまりありません。
少し話が外れるかもしれませんが、かつて、Win&Win社は韓国本社のホームページで、ベクトランを混紡した452Xのような原糸を素材としたストリングは、リム破損の原因になる可能性が高いので使用しないでくれ、という注意書きを掲載していました。しかし、同時期のWin&Win Japanの日本国内向けホームページでは、その部分の記載が欠けていました。ベクトランを混紡したストリングは、ストレッチがまったくなくなるため、HMPE製ストリングよりも大きな衝撃をリムに与えることになります。Win&Win社は、それ以前に「XQ-1」という競技用高性能リムを販売したことがありましたが、そのリムが破損による大量リコールを起こした経験があり、そうした経緯から安全策として、前述の注意を掲載したのかもしれません。
いずれにしても、入門者グレードのリムにHMPE製ストリングを使用して、わずかな性能アップを期待するより、少しグレードを上げた中級者向け以上のリムにすれば、どのようなストリングにも対応できるはずで、安心して使用できるものと思います。
アーチャー (水曜日, 13 5月 2020 08:23)
ご丁寧にありがとうございました!