あちぇ屋のウェブサイトで知ったのですが、アーチェリー用ストリング原糸を供給する二大メーカーのひとつであるBrownellが原糸販売から撤退したようです。最近、製品ラベルを変更する程度で、新製品展開の動きが少ないとは感じていたのですが、なんだか非常に残念です。もう一方の雄であるBCYは、アメリカのアーチェリー専門雑誌の中刷り広告ににぎやかに掲載を続けているようです。
ストリングの解説のところでもお話ししていることですが、ストリング原糸となる素材は数限りなくあるわけではありません。その主体は高分子ポリエチレンを原料とするスペクトラやダイニーマといった繊維で、それぞれの繊維が改良されることで、ストリング原糸としての性能、性質も変化してきたわけです。新しい改良型の繊維が登場するとBrownellもBCYも、それを素材とした新しいストリング原糸を発表していたわけですが、両社の競合製品は全く同じあるかといえばそうでもありません。もちろん、最も大きく影響するのは繊維素材の変更になりますが、そのほかに原料繊維から原糸を構成する際にどれくらいの太さにするか、ベクトラン等の別種の繊維を混紡して性質を変化させるか、原糸自体の撚りを多くするか少なくするか、ワックス成分に何を使うか等で、同じ原料でもストリング原糸としての性質は変化してくるわけです。近年のBrownellは、過去の売れ筋であったFastFlightの原料であったスペクトラの入手を絶たれた経験からか、原料繊維を明確にアピールしてはいませんでしたが、BCYと同時期に市販された新製品については同じ原料を使用していたとみて間違いありません。
個人的には、感触の柔らかさから、原料は同じでもBrownell製のほうが好みだったので、Brownellのストリング原糸製造撤退の情報は非常に残念に思います。ただし、今後はBCYの独り勝ちという状況になるということとも思われず、Flexのようにダイニーマの名称使用が認証されていないメーカー製の繊維を原料とするストリング原糸が登場してくる可能性もあると思います。この分野においても、別記事で紹介したように、中国の製造業から目を離せないのではないでしょうか。
当面、FastFlightをはじめとしたBrownell製ストリング原糸は確保していますので、しばらくの間はBrownell製ストリンクの供給は可能ですので、ご希望の方は通販ショップのほうからご注文ください。
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